北海道が16位から3位に急上昇

2019年2月19日、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターは、2018年の移住相談の傾向と、移住希望地域ランキングを発表した。アンケートの対象は、東京都千代田区にある「ふるさと回帰支援センター」の相談者、相談会やセミナーなどの参加者だ。

ふるさと回帰支援センターへの相談件数は41,518件と、初めて4万件を超えた。2017年の33,165件から大幅に増加している。セミナー開催数も前回調査の485回から539回に増加。こちらも過去最高の開催数となっており、自治体が積極的に働きかけていることがうかがえる。

アンケートの結果、移住希望地域として1番人気だったのは、昨年同様長野県だった。2位は静岡県と、2016年と2017年の3位から上昇。長野県と静岡県は移住先として安定した人気を維持しているようだ。3位にランクインした北海道は、前回調査の16位から大きく順位を上げた。北海道庁は、2016年10月に北海道ふるさと移住定住推進センター「どさんこ交流テラス」を開設。2018年11月には「北海道暮らしフェア」、その後もUIターン就職相談会やセミナーなどを開催。市町村自治体とも連携し北海道をPRし、着実に移住希望者を増やしている。

ふるさと回帰支援センター問合せ・来訪者の推移(東京)2009~2018年ふるさと回帰支援センター問合せ・来訪者の推移(東京)2009~2018年

セミナー内容の差別化、地域の特色を生かした移住支援が進む

各自治体が積極的にイベントを開催するなか、自治体はそれぞれの特色を生かし、食や子育て、女性向けなど差別化をはかっているようだ。ふるさと回帰支援センターのホームページで告知されているセミナー内容も、「アウトドア」、「IT」、「小商い・副業」、「テレワーク」などと幅広く、個々の趣味や暮らし方に合わせた提案を行っている自治体が多い。

佐賀県は、前回調査の20位圏外から10位へ大きく順位を上げ、初めてのトップ10入りとなった。佐賀県は、2016年にさが移住サポートデスク 東京窓口を開設。女性向けセミナーや起業、農業や林業など、幅広い層に向けたイベントを実施している。ほかにも、大分県が前回調査の17位から10位とトップ10にランクイン、香川県は前回の20位圏外から17位に上昇した。

センター利用者の年代の傾向は、前回調査から大きな変化はなかった。20代が21.6%、30代が28.9%と、20~30代が半数を占めており、若い世代の移住希望傾向が定着してきている。希望する地域については、「地方都市」を希望する人が74.4%と、過去3年で年々増加傾向にある。

ふるさと回帰支援センター(東京)移住希望地ランキング2018年<br>1月から12月までの1年間に新たに移住相談カード(移住希望者アンケート)を作成した人が対象ふるさと回帰支援センター(東京)移住希望地ランキング2018年
1月から12月までの1年間に新たに移住相談カード(移住希望者アンケート)を作成した人が対象

東京一極集中の是正になるか?UIJターンの起業・就業を支援

前述の通り、移住希望の相談者は増加傾向にあるものの、東京圏への転入超過は歯止めがかからない状況だ。総務省「住民基本台帳人口移動報告2018年」によれば、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は、13万9,868人の転入超過で前年に比べ1万4,338人拡大した。

東京一極集中の是正、地方の人材不足の改善を目的に、内閣府は「わくわく地方生活実現政策パッケージ」の策定・実行を進めている。目玉となっている施策が地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業で、UIJターンによる起業・就業者を創出する地方公共団体の取組みを、地方創生推進交付金で支援する。

移住支援金(地方創生移住支援事業)は、東京23区に在住、または通勤している人が東京圏外へ移住し、移住支援事業を実施する自治体が選定した中小企業などに就業、または起業支援金の交付決定を受けた人が対象となる。移住直前に、連続して5年以上東京23区に在住(もしくは通勤)している事など、それぞれ支給条件があるが、要件を満たせば最大で100万円(単身の場合は60万円以内)が支給される。

起業支援金(地方創生起業支援事業)は、①東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。②公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。③起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。この3つの条件を全て満たした場合、最大200万円が助成される。

地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業は、2019年度から6年間を目途に地方公共団体が主体となって実施される。開始時期や支給額など制度詳細は自治体により異なるため、移住を検討している場合は自治体の条件や、給付条件をあらかじめ調べておきたい。詳細は下記のリンクから。

起業支援金・移住支援金/内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/shienkin_index.html

内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局/起業支援金・移住支援金パンフレットより抜粋内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局/起業支援金・移住支援金パンフレットより抜粋

2019年 05月28日 11時05分