空き家管理事業者は、どんな保険に入るべきか?既存保険を「つなぎ直す」
「空き家の保険がない」という誤解
空き家管理を始めた事業者から、保険への不安をよく聞きます。
作業中に建物を壊してしまったら。
近隣に被害を与えたら。
預かった鍵をなくしたら。
こうした場面を思い浮かべて、「空き家管理にぴったり合う保険なんて無いのでは」と感じる方は少なくありません。
ですが、空き家管理のリスクの多くは、手立てがないわけではありません。
実務上は、すでにある保険を業務内容に合わせて組み合わせることで、かなりの範囲に備えられる可能性があります。
問題は、それらが「空き家管理向け」に分かりやすく整理されていないことにあります。
3つの層に分けて考える
空き家の保険が難しく見えるのは、ひとつの事故に複数の立場が同時に関わるからです。
通水作業の閉め忘れで漏水すれば、建物の損害、家財の損害、隣家への水濡れ、管理事業者の賠償責任、所有者の管理責任が、いちどに発生する可能性があります。
だからこそ、単一の商品を探すのではなく、誰が誰に何の責任を負うのかを先に分けることが出発点になります。
実務では、建物を守る層、近隣賠償に備える層、管理業務の事故に備える層、という3つの分け方が役立ちます。
建物は、空き家として引き受け可能な火災保険で対応できる可能性があります。
ただし居住時の住宅用契約をそのまま継続できるとは限らず、利用実態の変化を保険会社へ通知して見直す必要が生じる場合があります。
近隣への被害、たとえば瓦の飛散や塀の倒壊には、所有者の賠償責任に備える施設所有・管理者賠償責任保険などが検討対象になります。
自宅の個人賠償特約が離れた空き家まで対象にするとは限らないので、所在地と利用状況の確認が大切です。
管理業務の事故は、作業ごとに割り当てます。
草刈りで隣家の窓を割れば請負業者賠償責任保険、鍵の紛失は受託物関連の特約、室内写真の流出は情報漏えい保険、といった具合です。
本業があれば、保険会社に「本業は○○で空き家管理もやってます」と伝えてみてください。
ここで実際の作業を一つずつ具体的に伝えることが問題解決につながります。
まずはリスクの棚卸しから
最初に取り組むべきは、商品選びではなく、自社の業務を分解して並べることです。
建物に入るのか、通水するのか、鍵を預かるのか、外注を使うのか。
この棚卸しができれば、あとは業務ごとに既存保険を割り当てるだけ。
専用商品は、既存保険で埋まらない部分だけを補う順序が現実的だと、ぼくは考えています。
適正に管理され記録が残された空き家は、保険会社から見ても引き受けやすい建物です。
管理という日々の営みが事故を減らし、保険を組みやすくする。
その循環をつくることが、これからの空き家管理の価値になっていくはずです。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















