空き家の給湯器・室外機盗難が5年で13倍。管理事業者が知っておくべき現状
被害はこの5年で桁が変わった
空き家の設備盗難は、もはや局所的なトラブルではなくなっています。
エアコン室外機の盗難被害は2024年に3千件を超え、2020年と比べておよそ13倍に増えたと報じられています。
給湯器についても、ここ数年で数倍に増えているという指摘があります。
数年前までは「なんとなく増えている」という肌感覚の話でしたが、今は統計としてはっきり跳ね上がっている状況です。
管理を任される事業者としては、盗難リスクを前提に置いたサービス設計が求められる段階に入ったと考えられます。
なぜ空き家の設備が狙われるのか
理由はシンプルです。給湯器や室外機の内部には銅やアルミといった金属が多く使われていて、その価格が世界的に高騰しています。
盗んで分解し、スクラップとして売れば換金できる。だから狙われます。
そして空き家は特に狙われやすい条件がそろっています。
人がいないので犯行が発覚しにくく、被害が判明するのが数か月後というケースも珍しくありません。
屋外設備の窃盗は、窓を割って侵入する空き巣よりも犯人側の心理的ハードルが低いとも言われます。
作業服を着て軽トラックで横付けすれば、近隣からは業者の作業にしか見えないからです。
こうした金属盗は、SNSなどでゆるくつながって離合集散する犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」(匿名・流動型犯罪グループ。実行役がその都度集められる形態)の資金源になっています。
単発の窃盗ではなく、組織的な換金ルートを背景に持つ点が、被害を根深くしています。
金属盗対策法の全面施行で何が変わるか
制度面でも動きがありました。
金属盗の急増を受けて「金属盗対策法」(正式には盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律)が2025年6月に公布され、2026年6月1日から全面施行されています。
内容をかみくだくと、銅などの金属くずを買い取る事業者に対して、売り主の本人確認や取引記録の作成を義務づけるものです。
これまで自治体ごとの条例でばらばらに規制していたものが、全国共通のルールとして整理された、という位置づけになります。
盗品を売りにくくすることで、盗難そのものを減らそうという狙いです。
ただし、法律が現場で効果を発揮するまでには時間がかかります。
盗まれた設備が戻ってくるわけでもありません。
所有者側・管理側でできる物理的な備えは、引き続き必要になると考えられます。
事業者としては「法整備は進んだが、自衛は別途必要」という整理を顧客に伝えられると、提案に説得力が出ます。
事業者が提案できる防犯サービスの組み立て
管理事業者の立場では、盗難リスクを軸にした具体的なメニューを用意しておくと、顧客への提案がしやすくなります。
現場でよく効くのは、次のような要素です。
まず「空き家だと分からせない」管理です。郵便物の整理、庭木や雑草の手入れ、玄関先のごみや落ち葉の除去、雨戸やカーテンを閉め切りにしない工夫。
犯人は下見をしてから狙うため、管理されている外観をつくること自体が抑止力になります。
台風のあとに雨樋や外壁の破損を放置しないことも、荒れた印象を防ぐうえで有効です。
次に設備まわりのセキュリティです。給湯器や室外機の近くに防犯カメラやセンサーライトを設置する、踏むと音が鳴る防犯砂利を敷く、といった対策が考えられます。
塀や生垣で完全に目隠しすると、かえって死角を生んで犯人に有利になるため、視認性とのバランスを取る設計が望ましいです。
そして定期巡回と近隣連携です。人が定期的に出入りしている家は、それだけで狙われにくくなります。
近隣の方に一声かけておく、駐車場や庭の一部を活用してもらうといった工夫で、見守りの目が自然に生まれます。
これらは単発の工事より継続契約になじみやすく、管理事業として収益の柱にしやすい領域でもあります。
長期不在期は提案のタイミング
お盆や年末年始など、所有者が実家に帰省する時期は、盗難への関心が一時的に高まるタイミングです。
帰省して設備の有無を確認したり、久しぶりに家の状態を見て不安を感じたりする所有者が増えます。
この時期に合わせて防犯・見守りの情報発信をしておくと、相談につながりやすくなります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















