国交省が動いた「団地丸ごと再生」。異業種参入の入り口はどこにある

空き家は900万戸。しかも「使う予定のない家」が大量にある

2023年の住宅・土地統計調査で、全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%となりました。

どちらも過去最高です。

このうち賃貸用や売却用、別荘などを除いた空き家は385万戸あるとされています。

ここが事業者として押さえておきたいポイントです。

市場の本質は「空き家がある」ことではなく、「売る予定も貸す予定も使う予定もない家」が大量に存在していること。

つまり、所有者自身も出口を決めきれていない物件が、全国に積み上がっているわけです。

この”宙ぶらりんの層”こそ、管理・活用ビジネスが接点を持ちやすい領域になります。

団地は「一斉に年を取る」から、需要が集中発生する

戸建て団地には、普通の住宅街とは違う特徴があります。

同じ時期に造成され、同じ年代の人が入居し、同じ時期に家が古くなる。家と人が一緒に年を取っていくんです。

高度経済成長期に30代で家を買った人は、50年後には80代。

家も築50年で、屋根や水回りに修繕が必要になる頃です。

子どもは都市部に出ていて、住み継ぎ手がいない。

実際、広島市のあさひが丘団地では「家を住み継ぐ人がいない」と答えた世帯が約6割、家財を残したままの空き家も100棟超と報じられました。

これが1軒なら家族の問題ですが、100軒、200軒と同時に起きれば街の問題になります。

裏を返せば、事業者にとっては需要が一箇所に集中して立ち上がる、ということでもあります。

商機は「空いてから」ではなく「住まなくなった日」から

空き家ビジネスというと、つい「売る・貸す・解体する」という空き家になった後の話に寄りがちです。

でも現場を見ていると、その手前に大きな空白があります。

分かりやすいのが、高齢の親が施設に入るタイミングです。

家族はすぐには「空き家になった」と考えません。

「戻るかもしれない」「まだ荷物もあるし」と、家は数年間、留守宅のような状態になります。

留守宅とは、ざっくりいえば、まだ空き家ではないけれど実質もう誰も住んでいない家のことです。

この期間に、庭は荒れ、雨漏りが始まり、郵便物がたまっていく。

ここに定期的な見回りや状態確認のニーズがあります。

「空き家になった日」より「住まなくなった日」に商機がある、という見方が、参入を考える人にとっては効いてくると思います。

国も「団地丸ごと」の再生に動き始めた

制度の追い風も出てきています。

国土交通省は2026年度、「住宅団地再生推進モデル事業」を進めています。

団地の再生に向けた調査・検討や既存住宅の改修を支援するもので、活動費などが全額補助になる支援もあり、2026年6月には二次募集も始まりました。

補助の条件や範囲は年度で変わり得るので、参画を検討する場合は最新の公募要領を確認するのがよさそうです。

注目したいのは、政策の発想が「一軒単位」から「エリア単位」へ移りつつあることです。

従来の空き家対策は「Aさんの家をどうするか」が中心でした。

しかし団地では、それでは追いつかない。地域丸ごとで管理し、将来を考える枠組みが求められ始めています。

「団地一括管理」が、異業種の入り口になる

ここが、参入を考える事業者にとっての勝ち筋になり得ると考えています。

空き家が30軒ある団地で、それぞれがバラバラに管理会社を探すのではなく、地域でまとめて見回る仕組みをつくる。

月1回、草木や郵便受け、建物の異常を確認し、台風のあとにもチェックする。

一軒ずつでは採算が合いにくい仕事も、エリア単位ならまとめて回せる可能性が出てきます。

ここは既存事業との掛け合わせが効く領域です。

巡回のノウハウを持つ警備業、現地対応ができる清掃・リフォーム業、出口設計を担える不動産業、名義や相続の整理を支える士業…それぞれの本業に「見回り」を一つ足すだけで、地域単位のサービスが組み立てられます。

そして何より、この仕組みは「誰も見ていない家」を地域から減らします。

防犯・防災の面でも地域の安心につながり、自治体との連携もつくりやすい。

収益性と公益性が両立しやすいのが、この領域の特徴だと思います。

参入前に整理しておきたいこと

まとめると、論点は三つです。

市場性は、出口の決まらない385万戸という宙ぶらりんの層にある。

課題は、一軒単位では採算が合いにくいこと。

勝ち筋は、それをエリア単位・既存事業との掛け合わせで解くこと。

需要は確実に増えていきますが、単独で全部を抱え込む必要はありません。

むしろ、地域や異業種と組んで面で受ける発想が、これからの空き家ビジネスの現実解になっていくと考えています。

空き家管理士協会は、空き家の可能性に挑戦します。

この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの空き家ビジネスnoteでも解説しています。

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