空き家トリアージとは?町全体で空き家の役割を分ける考え方
空き家100軒を、100軒全部活用しなくていい理由
すべての空き家を活かすのは現実的ではない
町に空き家が100軒あったとして、そのすべてに使い道を見つけるのは容易ではありません。
訪れる人の数にも、運営を担う人の数にも限りがあります。
「全部活かさなければ」と考えるほど、どこから手をつければよいか分からなくなり、結果としてどの家にも手がつかないまま時間が過ぎていく。現場ではよく見られる状況です。
町全体で空き家の役割を分ける
空き家トリアージという考え方
そこで提案したいのが、町全体で空き家の役割を分ける考え方です。
たとえば100軒のうち、数軒を宿や店、体験施設、観光案内所にし、一部は解体、残りは適切に管理しながら次の出番を待ってもらう。
災害医療で手当ての優先順位を決める「トリアージ」になぞらえ、「空き家トリアージ」と呼んでいます。
解体も町のための役割の一つ
解体は失敗ではありません。修繕に多額の費用がかかる家を無理に残し、長く放置されるほうが、家にも町にも負担になりかねません。
跡地は駐車場や広場、町並みの景観の抜け、雨水をためる防災の拠点として役割を持てます。
観光資源になる前に必要な「管理」
役割分担で最も大切なのが、次の出番を待つ家の管理です。
数年ぶりに開けた家で、畳が湿気で傷んでいたり、雨漏りが梁まで広がっていたりすることは珍しくありません。
雨漏り一つで、活用できたはずの家が解体しか選べなくなることもあります。
空き家は、使うと決まってから管理するのでは遅いといえます。換気や通水、屋根や雨どいの点検を続けることで、家は次の出番を待つことができます。空き家管理は、未来の観光資源を残すための基礎インフラです。
空き家は「暮らし観光」の入口になる
旅行者が求めるのは有名な観光地だけではありません。
海辺の夕日、地元の飲食店、朝の産直など、地域の日常を組み合わせることで、空き家は目的地ではなく、地域を楽しむ拠点になります。
今のうちにできること
事業者は町の役割分担の中で自社が担える部分を、所有者は使い道が決まる前でも家を傷ませないことを、自治体や地域金融は町の単位で空き家の役割を考える視点を、それぞれ持っておくことが、次の一歩につながります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















