家があるのに住めない。スペインの住宅デモが日本の空き家ビジネスに投げかけるもの
スペインで起きた「家はあるのに住めない」問題
マドリードで退去させられた女性の住まいは、建物を買い取った投資ファンドが、家賃を大幅に引き上げようとしていたと報じられています。
観光客向けの部屋に転用する狙いがあったとされ、市民の強い反発を招きました。
その後、女性は元の家賃に近い条件で戻れることになりましたが、この出来事は「建物があることと、そこに住み続けられることは別の問題だ」という事実を浮き彫りにしました。
日本の空き家900万戸、事業者が注目すべきは約386万戸
「使用目的のない空き家」とは
2023年の住宅・土地統計調査によると、日本の空き家は約900万戸です。
そのうち約444万戸は賃貸用の空き室です。事業者として注目したいのは、賃貸用・売却用・別荘のいずれにもあたらない約386万戸のほうです。これはざっくりいうと、「次の使い方が誰にも決められていない家」を指します。
判断が止まる理由は、所有者の心理にある
親の荷物が残っている、きょうだいの合意がない、修繕費の見当がつかない。
こうした理由で判断を先送りするのは、ごく自然なことです。ただ、その間にも建物は傷み、いざ活用しようとしたときには住めない状態になっていることも少なくありません。
「保つ・決める・届ける」空き家ビジネスの3つの役割
保つ仕事(管理・清掃・警備・介護)
傷む前に手を入れ、売る・貸す・住むという選択肢を残す役割です。
定期点検に「そのまま住める状態か」の確認を加えると、所有者の判断材料が増えます。
決める仕事(士業・地域金融)
相続や家族の合意で止まった判断を、前に進める役割です。
相続相談の段階で建物の状態もあわせて確認する流れをつくると、手続きと建物管理のすれ違いを減らせる可能性があります。
届ける仕事(不動産・リフォーム・自治体)
使える家を必要な人につなぐ役割です。
解体という選択肢も含め、地域ごとに「どの家が、どの程度の改修で住めるか」を把握しておくことが、将来の強みになると考えられます。
観光活用と住民の暮らしを両立させる
空き家を宿泊施設にする取り組みは、地域にとって大きな可能性があります。
ただし、地域で働く人の住まいが足りなくなれば本末転倒です。地域の住宅事情を見ながら進める視点が欠かせません。
「また住める家」を残すことが、次の需要をつくる
空き家が悪いのではなく、放置が問題です。
住まなくなった家を、再び住める状態で保つこと。そこに、異業種が関われる新しい仕事が生まれつつあります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。

















