崩れてはじめて「空き家」になった長屋。生野区の倒壊が示す、制度に映らない空き家
20年無人でも「空き家」ではなかった!?
報道によると、10月1日午後に近隣住民から「崩れそうだ」と消防に通報があり、その後住戸は完全に倒壊、4日から周辺道路が封鎖されました。幸いけが人はいませんでした。
この住戸は20年近く無人だったとされますが、生野区の空き家率22.8%にも含まれていなかったと報じられています。
大阪市は倒壊後、崩れた部分を別個の建物として扱い、空き家と判断したうえで撤去に向けた対応を検討しているとのことです。
長屋が制度からこぼれやすい理由
「棟」で数えるという考え方
長屋は、隣家と壁を共有して連なる建物です。
空家法の運用では、長屋は棟全体を1つの建物として扱うのが基本とされており、1戸でも居住者がいれば空き家にあたらないと判断されやすくなります。
建築基準法による危険建築物への対応という別の道もありますが、手続きに時間がかかる場合が多いようです。
所有者も隣人も動きにくい
一角だけ解体すると隣家の壁がむき出しになるため、補強の費用や隣人との調整が必要になります。
相続が重なり、所有者の自覚が薄いケースも少なくありません。
隣に住む人も、他人の家の傷みは指摘しにくいものです。
事業者に求められる「崩れる前」の役割
管理業者:棟単位の見守りと記録
所有者も行政も見に来ない空き住戸だからこそ、定期的な巡回と写真記録が、兆候を示す材料になります。
解体・建設:切り離し工事
共有壁の補強や外壁の新設を伴う長屋の部分解体は、戸建ての解体とは別の技術と段取りが求められます。
士業:所有者と権利関係の調査
長期無人の住戸は相続が重なり、所有者の特定が難航しがちです。権利調整の専門家の関与が欠かせません。
いま事業者が確認しておきたいこと
まずは営業エリアの長屋を「棟」として観察し、空き住戸の状況を把握してみてください。
あわせて、地元自治体が長屋の空き住戸をどう扱っているかを確認しておくと、今後の提案の土台になります。
空き家そのものではなく、誰の目にも映らなくなることが問題です。
見守る人がいれば、長屋は地域の資産として生かせる可能性があります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。

















