猛暑で工期が延びる夏、建設会社の資金繰りをどう守るか
工期が延びると、なぜ現金まで足りなくなるのか
建設業には「完成しないと入金されない仕事」が多くあります。
工事をやり切り、検査が終わって、それから代金が振り込まれる。
着手金がある現場もありますが、大きな金額が動くのは完成後というケースが少なくありません。
一方で、工事の途中でも支出は続きます。
人件費、外注費、車両やガソリン代、資材費、重機や道具の費用、事務所の固定費。
工事の進み具合に関係なく、毎月出ていくものばかりです。
ここに猛暑が重なると、どうなるか。
午後の作業を止め、休憩を増やし、作業時間を削る。
職人の安全を優先すれば当然の判断ですが、その結果として工期が延びます。
工期が延びれば、入金までの「空白の期間」もそのぶん長くなる。
売上そのものは消えていないのに、現金が先細りする。
帳簿は黒字なのに資金繰りが苦しい、というあの状態が起きやすくなる夏なのです。
暑さ対策と、経営の対策は別もの
空調服、休憩所、作業時間の前倒し。こうした暑さ対策はどれも欠かせません。
ただ、これらが守るのは主に「職人の体」です。熱中症を防ぐための対策ですね。
一方、工期延長による入金の遅れは「会社そのもの」を守る話です。守る対象が違います。
体を守る備えはしていても、会社を守る備えは手薄なまま夏に入っている…。そんな建設会社は少なくないのではと感じています。
そこで一つの問題。
工事が進まない日にも、会社に入ってくる売上を持てないだろうか。この問いへの答えの一つが、空き家管理です。
一件は小さくても、毎月積み上がる
空き家管理の月額は、大きな工事代金と比べれば小さな金額です。
だからこそ見てほしいのは、金額の大きさではなく「性質」の方です。
毎月続けて入る、天候で止まりにくい、一度の契約が数年続くことがある、同じ地域で件数を増やせる、工事の繁閑に左右されにくい。
こうした特徴があります。
たとえば月額5,000円の契約でも、100件で月50万円、200件で月100万円という計算になります。
もちろん全額が利益になるわけではありませんが、一定の件数がまとまれば、人件費や車両費、保険料といった固定的な支出を支える土台になり得ます。
大きな一発の売上ではなく、コツコツ積み上がる売上。この見方の違いが効いてきます。
付け加えると、巡回業務は暑さに比較的強い働き方でもあります。
一件あたりは短時間で、猛暑日は朝の涼しい時間帯に回すこともできる。炎天下の重労働と比べれば、体への負担は軽い方だと考えています。
巡回は「見に行くだけ」ではない
空き家管理を「月に一度、家を見に行くだけ」と捉えると価値を見誤ります。
実際の業務は、建物外部の目視確認、雨漏りや外壁の異常確認、雑草や庭木の状態確認、郵便物の確認、通風・通水、不法投棄や侵入の確認、台風・豪雨・地震後の臨時点検、そして写真付きの所有者報告と、幅があります。
要するに「家が大きく傷む前に、異常を先に見つける仕事」です。建設会社にとっては、建物の状態を継続的に把握する接点にもなります。
点検で見つけた不具合が、適切な修繕につながる
巡回では、さまざまな異常が見つかります。
雨どいの小さな外れを早めに直せば軽い修繕で済みますが、放置すれば雨水が外壁や基礎に回り、大きな工事に発展する可能性があります。
台風後に屋根材のずれを見つければ、雨漏りが起きる前に所有者へ報告できます。
庭木や雑草の繁茂は、排水口の詰まりや害虫、不法侵入のリスクの発見にもつながります。
ここで大切なのは、不安をあおって工事を受注することではありません。必要な工事を、必要な時期に、必要な範囲で提案する。この姿勢が、所有者との信頼と継続契約につながっていきます。
管理会社と建設会社が同じ場合は、特に配慮が要ります。
点検結果を写真で示す、緊急性を「すぐ対応すべきもの」と「経過観察でよいもの」に分けて説明する、見積もり前に所有者の意向を確認する、高額工事では相見積もりの選択肢も残す。
空き家管理の目的は工事を増やすことではなく、建物の劣化を早く発見し、所有者に判断材料を渡すこと。
その結果として適切な修繕が生まれる、という順番が肝心です。
大きな売上と、小さな継続収入を組み合わせる
新築、リフォーム、修繕、解体、外構工事といった大きな売上を否定する必要はありません。むしろこれが本業です。
ただ、猛暑や豪雨、台風、資材不足、人手不足で本業が予定どおり進まない時代には、収入源が一つだけだとその「進まない日」がまるごと空白になります。
そこで、空き家管理、定期点検、草刈り、災害後点検、小規模メンテナンスといった継続型の収入を、もう一方に持つ。この二本立てが、経営の揺れを小さくします。
これが「NEO建設業」建てる・直す・壊すという単発の仕事から、地域の建物を継続的に守る会社へと広がっていく考え方です。
空き家管理は建設業とは別の畑ではなく、既存の知識、車両、道具、人材、地域からの信頼を活かせる、建設業の延長線上の仕事だと捉えています。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















