京都市の空き家税がまた延期…「制度が難しい理由」。
「また延期か…」と思った方も多いはず。
京都市が全国初で進める「空き家税」は、2026年度予定→2029年度→2030年度と、3回目の先送りになりました 。
ただ、これを単なる先送り体質と片づけると、肝心な本質を見落とします。
実は空き家税は「誰を対象にするか」の線引きが非常に難しく、拙速に始めると混乱やトラブルの火種にもなり得ます。
結論としては、延期は残念でも準備期間として市場を先回りできるチャンスです。
京都市の「空き家税」がまた先送りに。何が起きた?
京都市が導入を目指しているのが、通称「空き家税」と呼ばれる非居住住宅利活用促進税です。開始予定は当初2026年度でしたが、2029年度へ延び、さらに今回2030年度へ先送りになりました 。
このニュースは、空き家ビジネスに関心がある人ほど「結局いつ始まるの?」「制度として機能するの?」と気になるところです。
「また行政の怠慢?」と言い切れない、制度設計の難しさ
SNSでは「先送り体質」「やる気がない」といった声が出やすいテーマです 。
ですが、空き家税は、やる・やらない以前に、制度として成立させる難易度が高いのが現実です。
最大の壁は「誰に課税するか」の線引き
たとえば、こんなケースはどうでしょう。
・入院や介護で一時的に住めていない家
・転勤で数年だけ空けている家
・年に数回使う別荘
・宿泊事業で使われている家と、完全放置の家
「居住実態がない」と一言で言っても、現場はグレーゾーンだらけです 。
ここを雑に決めると、不公平感が出たり、説明責任が果たせず、結果としてトラブルが増えます。
観光都市ほど判定が複雑になる
京都のような観光地では、宿泊用途・投資用途・空き家の放置が混ざり合い、区別がさらに難しくなります 。
だからこそ「早く始める」よりも「揉めない仕組みでスタートする」方が、長期的には大事になります。
空き家税が本当に意味を持つ条件は「税収の使い道」
空き家税は、単なる“罰”で終わらせると反発が強くなりがちです。
反対に、税収が空き家対策に循環する仕組みになれば、地域を前に進める財源にもなります 。
「一般財源に入れて終わり」だと信頼は積み上がらない
税収の行き先が不透明だと、「払ったのに何も変わらない」という印象が残ります 。
ポイントは、以下のような“見える化”です。
・空き家活用(改修・利活用)への支援
・管理サービス・巡回点検の助成
・移住・住み替え等の後押し
・相談体制(窓口・伴走)の整備
毎年「集めた税が何に使われ、どれだけ成果が出たか」が示されれば、制度への納得度も変わってきます。
空き家ビジネスにとっては「市場が動く起爆剤」になり得る
空き家税が導入されると、空き家所有者の心理はシンプルです。
「何もしないコスト」が見えると、“相談する・動く”人が増えやすい。
ここで、事業者側の出番が一気に増えます 。
伸びるのは「管理」「活用」「相談」の3領域
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管理:遠方所有者の定期巡回、通風・通水、写真報告、緊急対応
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活用:賃貸・売却・利活用の設計、改修の段取り、関係者調整
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相談:現状診断、手続きの整理、意思決定の伴走
どれも共通して必要なのは、派手な魔法ではなく、現場の安心を積み上げる運用力です。
延期は残念。でも2030年度まで「準備できる」人が勝つ
制度開始が遅れるのは、地域にとっても事業者にとっても本音では早い方がいい。
ただ見方を変えると、2030年度までに「揉めない設計」が整い、需要も段階的に立ち上がる可能性があります 。
この期間にやるべき準備はシンプルです。
・現場の実績を作る(小さく始める)
・提供サービスを言語化する(メニュー化・料金表ではなく価値の整理)
・自治体・士業・不動産・工務店と連携の型を作る
制度が始まってから慌てるより、先に信頼される土台を作っておく。
これが遠回りに見えて最短ルートです。
協会としての提案|「制度が動く前」に、仲間を増やしたい
空き家の課題は、放置された一軒の向こうに、相続・地域・安全・暮らしの問題が詰まっています。
だからこそ、空き家税の議論は「賛成・反対」だけで終わらせず、地域を前に進める設計と、現場を回す人材がセットで必要です。
一般社団法人 空き家管理士協会では、空き家管理・相談の基本を体系的に学べる場を整え、全国の実務者ネットワークづくりを進めています。
もし空き家ビジネスに関心があるなら、いま動くこと自体が強みになります。
※税制度や運用は自治体・制度改正により変わる可能性があります。
実務判断は自治体窓口や専門家への確認をおすすめします。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















