富山市の人口水増し問題から考える、空き家政策の新しい物差し
富山市の問題が示した「数えることの難しさ」
富山市では、国勢調査で「居住実態なし」とされた世帯を、偽の調査票で足し戻した疑いが報じられ、警察が捜査を進めています。
動機はまだ分かっていません。ただ、この件は、住んでいるかどうかの記録がいかに揺らぎやすいかを示しています。
入院中の家族がいる家、施設入所で空いた家、二地域居住の家。外観だけで判断するのは難しく、現場の調査員も迷いながら記録しています。
長屋の「隠れ空き家」も同じ構造
大阪市生野区では、棟続きのほかの住戸に居住者がいたため、法律上の空き家として扱いにくいとされた一角が倒壊しました。記録と実態がズレると、手当てが必要な家ほど見えにくくなります。
900万戸の内訳を、事業者はどう読むか
2023年の住宅・土地統計調査では、空き家は約900万戸でした。ただ、約443万戸は賃貸用で、使い道が決まっていない空き家は約385万戸です。そのうち手入れされずに傷んでいる家の全国的な集計は、見当たらないのが現状です。
事業者にとって大事なのは、総数よりも「誰も手入れしていない家」がどこにどれだけあるかを、地域ごとに把握する視点です。
管理状態を測る3つの指標
協会代表の山下は、個人の提案として、戸数と並べて次の3つを見ることを挙げています。
- 管理実施率:年1回以上、見回りや草刈りが行われている空き家の割合
- 管理不全率:放置すると危険になりうる状態の家の割合
- 所有者・管理責任者の把握率:緊急時に連絡先が分かっている家の割合
2023年の空家法改正では、特定空家の手前に「管理不全空家」という段階が設けられ、市町村が早めに指導や勧告をできるようになりました。制度の運用は自治体によって異なるため、詳細は各自治体の窓口での確認が必要です。
「見える管理」に生まれる需要
管理状態が評価されるようになれば、巡回の記録、写真つきの報告書、所有者の連絡先台帳など、手入れを見える形にする業務が求められる可能性があります。
既存事業と組み合わせやすい領域
不動産の管理業務、警備の巡回、清掃や草刈り、介護の見守りなど、すでに地域を回っている事業者にとっては、いまの業務の延長で取り組みやすい分野です。空き家管理士の知識があれば、所有者への説明や自治体との連携もしやすくなります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。

















