ANAの「お試し二地域プラン」とは?香川県観音寺市の暮らし体験から見る二地域居住の現在地

観光でも移住でもない「通う人」が増えている

ANAの二地域居住プランに香川県観音寺市も参加

ANAの二地域居住プランに香川県観音寺市も参加

都市部で働きながら年に何度も地方を訪れる人がいます。

農繁期だけ手伝いに来る人や、地域の行事に毎年顔を出す人もいます。住民票は移していないけれど、地域とは関わり続けている人たちです。

国もこうした暮らし方を「二地域居住」として後押ししています。

2024年には、二地域居住を進めるための法律が改正されました。

航空会社がこの流れに加わったのも、地方路線の需要づくりと地域の担い手不足という、二つの課題が重なっているからだと考えられます。

ANA「お試し二地域プラン」と観音寺市のプログラム

ANAは「BLUE SKY LIFE」というサイトで「お試し二地域プラン」を出しています。

2026年度は1道8県の20自治体が参加しています。参加者にはANA SKYコインが配られ、航空券代にあてられる仕組みです。このコインの原資には、各自治体の補助も入っています。

観音寺市のプログラムは秋(2026年10月30日〜11月1日)と冬(2027年1月22日〜24日)の2回です。

内容は、買い物施設や医療機関をまわる暮らし体験、サイネリアの出荷準備やフルーツミニトマトの収穫といった農作業体験、先輩移住者や農業者との交流、個別相談です。

条件の細かいところは変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。

特徴的なのは、名所めぐりより「暮らしの下見」に重心が置かれていることです。

スーパーの営業時間や、急病のときに行ける病院は、旅行では気にしませんが、暮らすとなると真っ先に気になります。

体験のあとに生まれる「住まい」の需要

二地域居住がうまくいったかどうかは、参加者の数だけでは見えにくいところがあります。

半年後に再び訪れたか。地元の人とのやりとりが続いているか。拠点を持ちたいと考えたか。こうした「その後」を見る必要があります。

そして、再び訪れようとした人が最初にぶつかりやすいのが、滞在先の問題です。

毎回ホテルでは費用がかさみます。かといって、一年中借りるほどは滞在しません。この「ホテルと賃貸のあいだ」の需要は、地域の空き家と相性がよい可能性があります。

空き家を「通う人の家」にするための実務

ただし、空き家をそのまま貸し出せば済むわけではありません。現場で必要になりやすいのは、次のような準備です。

  • 使っていない期間の換気・通水・防犯・庭木の手入れ
  • 貸してもよいと考える所有者の掘り起こしと合意づくり
  • 建物の安全性の確認と、必要な補修の見極め
  • 短期・反復の利用に合った契約形態の整理(関係する法令の確認を含む)

どれも一社だけで抱えるには負担が大きく、不動産会社、管理事業者、建設・リフォーム業者、士業が役割を分け合うほうが現実的です。

制度の上で役割を持つという選択肢

2024年の法改正で、市町村は二地域居住を進める計画をつくれるようになりました。

あわせて、二地域居住者を支える民間の団体を「特定居住支援法人」として指定できるようになっています。

ざっくりいうと、通う人と地域、住まいをつなぐ役割を、自治体が公式に任せられる仕組みです。どの自治体がどのように運用するかは地域によって異なるため、地元の自治体の動きを確かめておくことをおすすめします。

移動は航空会社が、地域との接点は自治体が、住まいの維持は地元の事業者が支える。

こうした分担ができれば、二地域居住は一度きりの体験から、地域に根づく暮らし方へ育っていく可能性があります。

なお、この連携の形は現時点のANA・観音寺市のプログラムに含まれるものではなく、協会としての今後への提案です。

空き家管理士協会は、空き家の可能性に挑戦します。

この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。

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