「空き家等対策の推進に関する特別措置法」No.87

第16条 第14条第3項の規定による市町村長の命令に違反したものは、50万円以下の過料に処する。

2 第9条第2項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、20万円以下の過料に処する。

Q87: 本法が施行された場合、地方公共団体が既に定めている空き家対策条例の扱いはどうなるのか。また、今後空き家対策条例を制定することはできるか。

 

A87:1平成26年10月時点で、401の市町村等の地方公共団体で、空き家対策を旨とする各種措置が定められた条例が制定されており、本法もそれらの条例と目的・趣旨の点で重なっているため、本法施行後の既存の条例の取扱いが問題となる。

 

2 まず、条例は「法律の範囲内で」、又は「法令に違反しない限りにおいて」制定することができるとされており、本法が規定する空き家等対策のような自治事務であっても、法令による規律は幅広く及ぶ。

 

3 問題は、どのような場合に条例が法令に抵触し無効となるかであるが、この点について最高裁は、

  • 条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾牴触があるかどうかによって判断するものとされ、

② ある事項を規律する法令と条例が併存する場合でも、

1.条例が法令とは別の目的に基づく規律を意図し、条例の適用によって法令の規定の目的と効果を阻害しないとき、

2.法令と条例が同一の目的であっても、法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるとき

は法令と条例は矛盾牴触しないという基準を示した。

 

4 本法についてみると、現在既に存在する全国の空き家対策条例については、本法とその目的を同一にするものと通常考えられることから、当該条例のうち本法とその目的を同一にする部分については、

①同種の措置を規定した本法の部分が「全国一律に同一内容の規制をする」趣旨である場合には、当該条例の措置は無効となり、

②逆に、同部分がナショナルミニマムを定めたものにすぎず、「地方の実情に応じて別段の規制を施すことを容認する」趣旨である場合は、当該条例の措置は有効であると考えられる。

本法は、基本的にナショナルミニマムを定め、地方の実情に応じて別段の規制を施すことを容認する趣旨のものであるが、他方、法第16条(過料)は、全国一律同一内容の規制であると解される。

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