150万円の空き家で後悔しない、空き家ビジネスの勝ち筋
「150万円で家が買える」魅力的な言葉の裏には、湿気やシロアリ、老朽化など写真に映らないコストあります。
安さに飛びつかず、戦略で勝つための実務視点を整理します。
空き家ビジネスに興味を持った人なら、一度は「格安物件、今がチャンス」という話を見聞きしたはずです。
たしかに空き家は多く、掘り出し物もあります。
でも、海外のご夫妻が約150万円で空き家を買ってDIYリノベをした結果、「もう二度と同じことはしない」と誓ったという報道を見て、ぼくはこに落とし穴の本質があると感じました。
この記事では、安い空き家を「怖い話」で終わらせず、参入者が失敗しにくい“勝ち筋(戦い方)”として、チェックポイントと事業機会を整理します。
空き家ビジネスは「安い物件を拾うゲーム」ではなく、見えないコストを見抜く力と、体力・時間も含めた投資設計で勝負が決まります。
写真では湿気もシロアリも映りません。
だからこそ、現地確認+専門家連携+運用シナリオが最初の必須条件です。
この当たり前を仕組みにするところに、異業種にも大きな参入余地があります。
背景とは?
近年、空き家は国内外から注目され、「空き家バンク」などを使って物件を探す動きも広がっています。
一方で、古い家ほど状態の個体差が大きく、購入前の情報が不足しがちです。
実際、当事者の言葉として「写真と実物はまったく違う」「写真には湿度もシロアリも映っていない」という指摘が出ています。
ここが市場のボトルネックです。
言い換えると、見えないリスクを見える化するサービスが不足している。
だからこそ、点検・見立て・段取り・運用支援の価値が上がっています。
ビジネス機会にどう活かすか…
1)物件選定の「目利き」を商品化できる
床下・屋根裏・水回り・電気・湿気・害虫など、写真では判断できない領域を、チェックリストと記録で“見える化”する。これだけで意思決定の質が上がります。
例:不動産・建設・清掃・害虫防除・設備業が連携し、購入前診断(簡易)+改修の優先順位まで提示。
2)DIY時代の「段取り・外注設計」が求められる
報道ではDIY中心で進めた結果、肉体的・精神的に相当きつかったという話が出ています。
DIYを否定せず、“DIYでやる範囲・プロに任せる範囲”を設計できる人が強い。
例:工務店・職人ネットワークを束ねて、施主の休日稼働を前提にした工程表、資材手配、品質チェックを提供。
3)買った後の「運用・管理」が継続収益になる
空き家は買って終わりではなく、運用が本番。別荘・賃貸・民泊・拠点利用など、形は違っても必要なのは定期点検、通風、通水、清掃、防犯、近隣対応です。
例:警備・介護・便利屋・清掃・造園・不動産管理が、月額の維持管理パッケージとして提供(地域事業者の協業が組みやすい)。
落とし穴はどんなものがあるのか…。
1)「購入価格」だけ見て、総コストが崩れる
安く買えても、改修費・設備更新・想定外の補修が積み上がると、計画が破綻しやすい。
回避策: 見積は1社だけに寄せず、最低限「優先改修トップ3」と概算幅を持つ(断定ではなくレンジで設計)。
2)体力と時間の過小評価で、途中で折れる
「楽しいが、もうやりたくない」という言葉は重いです。
回避策: 体力・稼働日数・家族の同意まで含めて計画する。電気・配管など重要部分は最初からプロ前提にするのも現実的です。
3)出口(どう儲けるか)が曖昧なまま買う
「買うこと」が目的化すると、運用方針が後追いになりやすい。
回避策: 先に運用シナリオを3つ作る(例:賃貸/拠点/売却)。需要は現地で仮説検証し、数字は“仮説”として慎重に更新する。
今日できる次の一歩を5つ
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チェックリストを作る:床下・屋根裏・水回り・電気・湿気・害虫・近隣(まずA4一枚でOK)
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現地確認の型を決める:写真だけで判断しない前提をチームの共通ルールにする
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専門家に“部分外注”する設計:設備・構造など重要箇所から連携先を探す
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小さな案件から試す:まずは「購入前の簡易チェック同行」「管理の月1プラン」など、提供範囲を狭く
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記録を資産化する:点検写真+コメント+提案をテンプレ化し、再現性のあるサービスにする
協会からの提案。
空き家ビジネスは、物件・改修・運用がつながるぶん、一社単独より連携が強い領域です。
一般社団法人 空き家管理士協会では、現場で困りやすい「見立て」「説明」「報告」「連携」の型を、資格・研修・全国ネットワークの形で整えています。
「まずは情報収集」「異業種だけど関われる?」という段階でも大丈夫です。
小さく始めて、必要なところから繋がる。その入口として協会を使ってください。
FAQ
Q1. 安い空き家はやめた方がいい?
A. 一概には言えません。ただ「安いから」で決めるのが危険です。現地確認と運用計画がセットです。
Q2. DIYはどこまでやるのが現実的?
A. 得意分野はDIY、重要箇所(電気・配管など)はプロ、の線引きを先に決めるのがおすすめです。
Q3. 現地確認で最初に見るべきは?
A. 湿気・床下・水回り・電気まわり。写真では判断できない部分を優先します。
Q4. 異業種でも参入できますか?
A. できます。清掃、防犯、造園、設備、介護、士業など、運用フェーズほど関わりしろが大きいです。
Q5. 協会は何を支援してくれる?
A. 現場の型づくり(チェック・報告・提案)、研修、ネットワーク連携、相談導線の整備が中心です。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















