人口が減るのに世帯数が増える。2025 年国勢調査速報から読む、空き家が増え続ける本当の 理由
「人口が減っている」という話は、多くの方がなんとなく知っています。
でもぼくが今回、2025 年国勢調査の速報を見て気になったのは別のことです。人口は減っているのに、世帯数が増えているという事実です。
これはつまり、「家族の単位が小さくなっている」ことを意味します。
核家族化の進行と、一人暮らしの高齢者の増加。その結果、一軒の家を維持できる人手が減り続けています。
空き家問題の本質は「活用できない」ことではなく、「管理できない・判断できない状態が続く」ことにあります。
今回は、このデータが示す課題と、これからの空き家対策に必要な視点を整理します。
「人口減少なのに世帯数増加」が意味すること
2025 年国勢調査の速報集計では、香川県の人口は減少傾向が続く一方、世帯数はじわじわと増えていることが読み取れます。
一見矛盾するようなこの現象は、「家族の単位が小さくなっている」ことを示しています。
かつては祖父母・親・子どもが同居する多世帯住宅が多かった日本の住宅事情は、核家族化の進行と、一人暮らし高齢者の増加によって大きく変化しました。
同じ人口であっても、住む家の数は増えるのです。
そしてこの変化は、空き家問題に直結します。一軒の家を維持するには、人手もお金も継続的な関与が必要です。
でも家族の単位が小さくなればなるほど、その家を支える力は弱くなっていきます。
「かくれ空き家」 相続前から始まる空き家化
空き家問題は相続後に突然始まるわけではありません。
親が施設に入った、長期入院が続いている、子どもは都市部に住んでいて頻繁には帰れない こうしたタイミングで、家は「誰も住ま
ないが、まだ空き家とは呼ばれていない状態」に入ります。
これを「かくれ空き家」あるいは「空き家の予備軍」と呼ぶことがあります。
相続が発生する前から、建物はじわじわと誰の手も届かない状態になっていることが多いのです。
問題が表面化するのは、雨漏りが進んだり、草が伸びたり、近隣から苦情が来たりしてからつまり、建物の価値が大きく下がった後です。
かくれ空き家の段階で何らかの関与ができれば、選択肢はずっと広く残ります。
活用・解体の前段階でつまずいている所有者がいちばん多い
「空き家をどうにかしたい」という気持ちはあっても、前段階でつまずいているケースが現場では非常に多く見られます。
「実家のことが気になっているけど、何から手をつけていいか分からない」「親がまだ生きているから勝手に動けない」「兄弟と相談しなければならないが、話し合いが進まない」「売るのか、貸すのか、自分たちで使うのか、方針がまだ決まっていない」 こうした状態が重なると、「活用か解体か」という問いに答えられないまま、時間だけが過ぎていきます。
空き家対策を「活用か解体か」の二択で語ることが多いですが、実態はその手前で止まっている所有者が最も多い。
この現実に向き合った制度設計が必要です。
「放置が問題」という視点から生まれる、5 つの施策
「空き家が増えること自体は問題ではない」という視点があります。
誰かが適切に管理していれば、空き家は農家の倉庫にも、週末の帰省拠点にも、移住希望者のお試し住宅にも、地域の集会
場にもなりえます。問題なのは「誰にも関心を持たれなくなった空き家」です。
だとすれば、「活用か解体か」の前に、「管理・整理・予防」という段階を制度として位置づけることが現実的な対策になります。
① 実家管理費の支援
遠方に住む子どもが定期的に帰省して草刈りや清掃・換気を行っても、現在の制度ではこうした負担は考慮されていません。
こうした自主的な管理行動を継続しやすくする支援の仕組みは、検討に値する課題です。
② 留守宅管理支援制度の整備
親が介護施設に入居したり、長期入院したりした後の実家管理を支援する制度は、現時点ではほとんど整備されていません。
高齢化が進む地域では、この段階の支援ニーズは確実に増えており、優先的に検討すべき課題です。
③ 空き家整理のサポート体制
家財が大量に残っている、誰の許可が必要か分からない、費用の見通しが立たない こうした壁を乗り越えるための相談窓口や整理支援の仕組みが充実することで、動き出せる所有者が増えます。
④ 二地域居住の受け皿づくり
都市部に住みながら地方にも拠点を持つ「二地域居住」という暮らし方が、徐々に広がっています。
地域の空き家をこの受け皿として整備することで、移住には至らなくても継続的に関与してくれる人を増やせる可能性があります。
⑤ 空き家管理士の標準業務基準の整備
「誰が、何を、どこまでやるか」が標準化されていないことが、空き家管理という分野への参入障壁になっています。
業務の基準が整備されることで、所有者が安心して相談できる専門家が増え、業者側も参入しやすくなります。
これら 5 つの施策は、それぞれ独立しているように見えて、すべて「人口減少社会における地域の住宅ストックの維持」というテーマでつながっています。
特定地域での先行実施が、全国の同様の課題を抱える地域のモデルになりえます。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















