宿泊税と空き家税は何が似ているのか。寝屋川市の新税から読み解く地域政策の今
「空き家ビジネスって、興味はあるけど、結局どこまで本気の市場なんだろう」。
そんな疑問を持つ方は少なくないと思います。
実は今、その答えのヒントになりそうなニュースが続いています。
山形市の「宿泊税」が来年4月導入決定、そして大阪府寝屋川市では全国初となる「空き家流通促進税」の条例案が動き出しました。結論から言うと、これは自治体が空き家を本気で「動かす対象」として扱い始めたサインだと見ています。
なぜ今、税制のニュースに注目すべきか
空き家ビジネスへの参入を考えるとき、多くの方が「市場規模」や「成功事例」から入ろうとします。
もちろんそれも大事ですが、実はもう一つ、見落とされがちな視点があります。
それが「自治体が、空き家をどう扱おうとしているか」という制度の動きです。
ここ数年、宿泊税を導入する自治体が急増しています。
東京都を皮切りに、京都市、大阪府、福岡市、長崎市、宮城県、金沢市…。
直近では山形市が、6月30日に総務大臣の同意を得て、来年4月からの導入を正式に決めました。
報道ベースでは、今後さらに数十の自治体が導入を検討しているとも言われています。
宿泊税が広がっているという事実そのものより、私たちが注目したいのは「自治体が、税という手段で地域の課題に介入し始めている」という流れです。そしてこの流れは、空き家にも及び始めています。
寝屋川市「空き家流通促進税」が示すもの
寝屋川市では、市内全域の「居住実態のない空き家」を対象にした「空き家流通促進税」の条例案が市議会に提出されました。
可決されれば、市域全体を対象とする空き家税としては全国初になると報じられています。
報道によると、市内の空き家約1万5,000戸のうち、約4割にあたる6,400戸ほどが、賃貸にも売却にも出されていない「動いていない空き家」だとされています。
寝屋川市は、観光都市である京都市とは違い、ごく普通のベッドタウンです。
高度経済成長期に家を建てた世代が高齢化し、相続や転居によって空き家が増えていく一方、新たに住宅地を開発する余地はほとんどありません。
だからこそ、眠っている空き家を市場に戻し、子育て世代など新しい住民の受け皿にしようとしているわけです。
これは、全国に数多くあるベッドタウン型の自治体にとって、決して他人事ではない構図です。
事業者にとって、これはリスクかチャンスか
空き家税の広がりは、所有者にとっては負担増という側面があります。
一方で、不動産・建設・士業・介護・警備・解体・リフォームといった、空き家と接点を持つ事業者にとっては、新しい需要が生まれる局面でもあります。
自治体が「放置を許さない」方向に動けば、所有者は否応なく、管理・売却・賃貸・解体といった選択を迫られます。
そのとき、誰に相談すればいいか分からない所有者は確実に増えます。
ここに、事業機会が生まれる余地があると、私たちは仮説として考えています。
ただし、税制や費用相場の詳細は自治体ごとに異なり、今後の制度設計次第で変わる部分も多くあります。
断定的な見通しを示すことはできませんが、「自治体が空き家を放置させない方向に動いている」という大きな流れ自体は、押さえておいて損はないはずです。
所有者の心理を理解することが、参入の第一歩
事業者として空き家ビジネスに関わるうえで欠かせないのが、所有者がなぜ動けないのかを理解することです。
相続人同士で意見がまとまらない、解体費用が出せない、遠方に住んでいて現地確認ができない、親が施設に入っただけでまだ判断できない。こうした事情は、現場では決して珍しくありません。
空き家税という「外圧」がかかるほど、所有者の不安や戸惑いは大きくなります。
だからこそ、専門知識を持って所有者に寄り添える事業者・人材の存在が、これまで以上に求められていくと考えられます。
今のうちに準備しておきたいこと
異業種から空き家ビジネスへの参入を検討する方にとって、今できる準備は大きく3つあります。
一つ目は、空き家に関する基礎知識と、所有者対応の型を学んでおくこと。
二つ目は、地域の不動産・士業・解体業など、他業種とのネットワークを持っておくこと。
三つ目は、自治体の制度動向を継続的にキャッチアップする仕組みを持っておくことです。
一般社団法人空き家管理士協会では、こうした準備を後押しするための資格制度・研修、そして全国の事業者をつなぐネットワークをご用意しています。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















