空き家の解体補助金と雨水助成をつなぐ「防災型跡地整備」という新市場
解体補助は「家を壊すところ」で完結している
全国の自治体には、危険になった空き家の解体に補助金を出す制度があります。
倒壊の恐れがある家、防犯上のリスクがある家を、公費の力で取り除く。これ自体はとても重要な取り組みです。
ただ、その流れを追うと、多くの場合「空き家になる → 危険化する → 解体する → 更地になる」というところで一区切りになります。
行政の目的は危険な建物の除去なので、更地になれば達成という考え方です。
問題は、その先です。
人口減少が進むと、建物が消えたあとの土地そのものが各地で増えていきます。
手つかずのままだと、草の繁茂、不法投棄、所有者不明化といった、いわゆる空き地問題があらためて発生することになります。空き家を減らしたはずが、別の管理コストが生まれるわけです。
すでにある「もう一つの制度」
一方で、多くの自治体には、まったく別の目的で運用されている制度があります。
雨水を貯めたり地中に浸透させたりする設備を設置した場合に、費用の一部を助成する仕組みです。
雨水貯留タンクや浸透ますの設置に対する助成として、複数の自治体で実施されています。
目的は、大雨のときに下水道や河川へ一気に雨水が流れ込むのを抑えることです。
ここで着目したいのは、この助成の多くが「建物があり、雨どいがあること」を前提としている点です。
つまり、解体後の更地は対象に含まれていないことが一般的です。
片方に解体を支える制度があり、もう片方に雨水を受け止める設備を支える制度がある。
けれど、この二つは担当課も窓口も分かれていて、つながっていません。
「新設」ではなく「接続」という考え方
そこで一つのアイデアとして、新しい制度をゼロから作るのではなく、既存の解体補助と既存の雨水助成を、一つの申請窓口でつなぐという方向が考えられます。
具体的には、解体後の更地を全面舗装で仕上げるのではなく、浅く窪ませて雨水を一時的に受け止められる仕上げを選んだ場合に、解体補助へ一定額を上乗せする、といったイメージです。
財源を新たに立てるのではなく、すでにある二つの制度を組み合わせる発想なので、導入の負担は比較的軽く、モデル地区での検証にも向いています。
なお、こうした跡地整備をすべての解体に義務づけるのは現実的ではありません。
所有者にとって解体そのものが大きな決断であるうえ、土地の条件によっては雨水貯留に向かない場所もあります。
義務ではなく、選べばメリットがある誘導型の設計が現実的だと考えられます。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















