【人口減少×空き家増】の時代、放置を減らすビジネスの勝ち筋
人口減少が進む日本で、空き家は「増える」のが前提になりつつあります。
課題は数ではなく放置。
地域の安全・景観・行政コストに直結する今、異業種でも参入しやすい空き家ビジネスの機会と落とし穴、最初の一歩を整理します。
年末年始に実家へ帰ると、「外壁のヒビ」「伸びた庭木」「ポストのチラシ」みたいな小さな変化に気づくことがあります。
ぼくがみた記事の筆者も、大分県の火災のニュースをきっかけに、空き家が放置されると防災・防犯・景観に連鎖的な影響が出る現実を語っています。
一方で、空き家は今後も増え続ける可能性が高く、全部を壊すにもコストがかかる。
だからこそ「放置を減らす仕方法絵です行政だけでなく民間の仕事として組み立てる余地が大きい。
今回は、空き家ビジネスの“勝ち筋”を、参入者目線で具体化します。
結論は「空き家をゼロにする」ではなく「放置を減らす」
空き家ビジネスの本質は「空き家をゼロにする」ではなく「放置を減らす」こと。
つまり、
①点検・見守り
②使える状態への整備
③行政・地域とつなぐ運用設計の3つに分解すること。
異業種ほど、既存の強み(巡回・清掃・警備・介護・士業・工務店ネットワーク)を掛け合わせると入りやすい。
なぜ今取り組むべきなのか。
空き家は「過去最多」水準へ
総務省の住宅・土地統計調査(速報)では、2023年の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%とされています。
空き家の増加は長期トレンドで、放置の母数が増えやすい環境です。
制度面でも「管理」が重くなってきた
空家法改正の流れの中で、「管理不全空家等」への対応が位置づけられ、勧告を受けた場合に住宅用地特例の対象から外れる(=税負担が増える可能性)など、所有者に管理の動機が生まれやすくなっています。
「人口減少を前提に備える」空気が強まる
政府でも人口減少対策を総合的に扱う枠組みが動き始めています。
人口が減る局面では、住宅の余剰と地域の空洞化が同時に起きやすく、空き家の放置化を食い止める実務が重要になります。
空き家ビジネスの機会はどこにあるのか…
1)「見守り・点検」を商品化できる
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例:月1回の外観確認・ポスト確認・写真報告・簡易清掃
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相性の良い業種:警備、清掃、新聞販売、配送、便利屋、造園
放置の入口を減らすだけで、火災・防犯・近隣トラブルのリスク管理に価値が出ます。
2)「使える状態に戻す」周辺需要が広い
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例:通風・通水、雨漏り確認、庭木管理、軽微補修、リフォーム前の現地調整
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相性:建設・工務店、リフォーム、設備、解体、リユース、ハウスクリーニング
所有者が遠方だと“判断の先送り”が起きがちなので、現地の一次対応があるだけで意思決定が進みます。
3)行政・地域と「運用」をつなぐ役が不足している
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例:相談窓口の一次対応、現地写真での状態整理、改善提案のテンプレ化、関係者調整
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相性:士業、不動産、地域団体、福祉、自治体受託
協会でも、写真をもとに状態相談を受け、将来的に判定の仕組み化(AI学習を含む)を構想しています。
空き家ビジネスへ参入の落とし穴と回避策
1)「何でも屋」化して利益が残らない
回避策: 商品は2~3段階(ライト・標準・緊急)などに固定し、追加作業は都度見積りに分離。
2)境界が曖昧でトラブルになる
回避策として…
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点検は「目視+写真+所見(推測)」まで
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修繕判断は専門事業者へエスカレーション
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契約書に免責と緊急時フローを明記(法務は士業連携)
3)制度・行政フローを知らず提案がズレる
回避策: 改正空家法の枠組み(管理不全空き家等・勧告と税務部局連携等)を最低限理解し、自治体の運用とすり合わせる。
空き家管理、実務の入口とは
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ターゲットを1つに絞る:遠方の実家所有者/相続予定者/不動産管理が苦手な層
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点検チェックリストを作る:外壁・屋根・庭・雨樋・ポスト・窓・近隣影響(写真基準も)
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報告テンプレを整える:写真→所見→推奨アクション→概算“ではなく”次の判断材料
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連携先を5社だけ決める:工務店、造園、清掃、警備、士業(紹介ルールも)
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まず3件で試す:価格より“運用の詰まり”(連絡頻度・緊急時対応・写真の撮り方)を改善
空き家管理士協会からの提案。
空き家ビジネスは、現場力だけでなく「判断基準」「報告品質」「連携設計」で差が出ます。
空き家管理士協会では、相談導線(LINE等)や実務の型づくり、ネットワーク連携を通じて、参入初期の事故りやすいポイントを減らす支援が可能です(まずは情報収集からでもOK)。
FAQ
Q1. 異業種でも本当に参入できますか?
A. できます。巡回・清掃・連絡体制など、既存業務の延長で始められる領域からが安全です。
Q2. いきなりリフォームまで対応する必要がありますか?
A. 不要です。最初は「点検と報告」の価値が大きく、必要時に専門業者へつなぐ形が現実的です。
Q3. 「管理不全空き家」って、どこからが該当ですか?
A. 自治体の判断が前提です。国交省が判断の参考となる考え方を示しているので、まずは枠組み理解から始めるのが確実です。
Q4. 空き家管理の価格はどう決めればいい?
A. 協会の基本的な値段設定はありますが、まずは作業時間(移動+点検+報告)と緊急対応の負荷で“採算が合う最低ライン”を出し、メニューを3段階にするのも一つの方法です。
Q5. 集客は何から?
A. HPやSNSからの問い合わせがメインです。「年末年始の実家チェック」など季節の行動に合わせた発信→無料チェックリスト配布→相談導線、が始めやすいです。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















