「実家管理費控除」と「空き家税」をセットで提案する理由
今回この提言を内閣官房の「租税特別措置・補助金の適正化に向けた提案募集」に提案させていただきました。
その内容を少しだけ要約して皆さんと共有したいと思います。
ということでいつもより少し硬めの内容になると思いますが、最後までお付き合いください。
空き家の相談を受けていると、ある共通点が見えてきます。
それは、問題が大きくなるタイミングがだいたい同じ、ということ。
相続が発生して、名義が変わって、気づけば誰も住まない。
そこから家は、少しずつ傷みます。
雨樋が外れる、雑草が伸びる、窓が割れる。
近所から「虫が…」「不審者が…」と連絡が来て、行政も動かざるを得なくなる。
でも、この段階になると、直すにもお金がかかるし、解体にもお金がかかる。
結果、「何もしない」が固定化して、放置が続いてしまう。
ぼくはここに、空き家対策の「詰まり」があると思っています。
相続後に、補助金で改修や解体を支援するのは大切です。
でも、それだけだと間に合わないケースが多い。
だから、相続前から「ちゃんと管理する」が当たり前になる仕組みをつくりたい。
そこで考えたのが、控除(誘導)と課税(抑止)をセットで動かす総合パッケージです。
1)誘導:実家管理費控除(仮称)
実家の管理って、実は「継続支出」です。
定期的に見に行く、草刈りをする、小さな補修をする、写真で記録して残す。
これを外部サービスとして契約しやすくするために、時限(例:2年)の税制措置として「実家管理費控除(仮称)」を提案します。
対象は、登録事業者が行う定期巡回・草刈り等・小規模保全・報告記録。
上限や自己負担を設け、電子証憑(インボイス・契約書・ジオタグ写真)を前提にすれば、制度のやりっぱなしも防げます。
ポイントは、家が元気なうちに小さくお金を使って、放置に落ちる前に止めること。
2)抑止:空き家税(仮称)
一方で、「放置しても損をしない」状態が続くと、行動は変わりません。
だから、放置・管理不全などリスクが高い状態には、段階的に負担が増える仕組みが必要です。
ここは先行例(京都市の非居住住宅への課税など)も参考にしつつ、全国で使える“枠”を地方税法で整備し、自治体が実装できるようにする。
そして税収は、見回り・小規模保全・利活用支援などに目的充当し、地域に還元する。
「管理する・活用する人は得をする。放置する人は損をする。」
このシグナルが、いちばん分かりやすいと思います。
ぼくがこの提案で描きたい未来
放置型空き家が減れば、防災・景観・防犯・衛生の面で地域の安心が上がる。
さらに、管理や小修繕、見守りの仕事が地域に増えて、地元の事業者にお金が回る。
空き家を「負債」ではなく、“次の使い道”につなげる確率が上がる。
つまり、空き家対策を「コスト」から「地域の循環」に変えられる可能性があるんです。
この内容は、内閣官房の提案募集に提出した私案です。
※本稿は特定の行政機関の公式見解ではありません。制度名・数値・工程は検討案で、今後の議論で変わり得ます。税務・法務の個別判断は専門家にご相談ください。
最後に。
この提案は、現場の知恵が入れば入るほど強くなります。
自治体の方、士業の方、住宅管理・建築・警備・見守り等の事業者の方…。「ここは実務上こうした方がいい」「この証憑設計なら回る」など、ぜひ意見をください。協会として、標準メニュー、研修、実証の枠組みづくりまで含めて一緒に形にしていきたいです。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















