庭木管理の外注でクレーム…空き家管理ビジネスの落とし穴
「現場は外注して、自分は営業や企画に集中したい」空き家管理を始めると、誰もが一度はそう考えます。
実際、業務委託は多くの業界で当たり前です。
ただ、空き家管理は「現場作業そのものが価値」になりやすい仕事。
現場を知らないまま下請けに出すと、オーナーが求める安心を届けにくくなり、思わぬクレームにつながることもあります。
結論はシンプルで、最初は自分の足で現場を回り、基準を作ってからチーム化するのが近道です。
なぜ「下請けに出したい」と思うのか
空き家管理は、換気・通水・ポスト確認・簡易清掃・庭の確認など、やることが多いです。
現場に行く時間もかかるし、報告書作成も必要です。
「この面倒な部分は外注して、自分は集客や企画に集中したい」という発想は自然です。
ただし、空き家管理は作業を終えることがゴールではありません。
空き家管理の価値は「気づき」と「説明責任」
同じ景色でも、経験で見えるものが変わる
空き家管理の本質は、物件の状態を正確に把握し、オーナーに安心を届けること。つまり信頼関係のビジネスです。
たとえば天井の薄いシミ。
経験がなければ「汚れかな」で終わる一方、現場数を踏んだ人ほど「雨漏りの初期かも」と気づき、次の一手(写真・記録・早期相談)につなげられます。
この気づきがあるから、オーナーは「任せてよかった」と感じます。
オーナーが求めるのは「報告書」より「納得」
「本当に大丈夫?」と聞かれた時に、胸を張って説明できるか。ここが空き家管理の肝です。
下請け任せで現場感がないと、「問題ないと聞いています」になりがちで、安心の質が落ちますね。
下請け化で起きやすい3つのこと
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現場がブラックボックス化する
どこが要注意か、何を優先すべきかの判断軸が自分に残りません。 -
優先順位のズレが起きる
下請け先は複数案件を抱えるのが普通。悪気がなくても「今月は簡単にチェック」になりやすい構造があります。 -
指示の精度が上がらない
現場を知らないと、具体指示ができません。結果として「やってほしくないこと」が抜け落ちます。
【失敗談】雑草のつもりが、大切な花を刈ってしまった
実際に、庭の管理を下請けに任せた現場で、オーナーが大切に育てていた花を雑草と一緒に刈ってしまった、という苦情相談がありました。しかも一度や二度ではない。
下請け側は「雑草を刈る」という指示通りに動いただけ。
でもオーナーにとっては、亡くなった家族の思い出の花だったりする。謝っても取り返しがつかない。
ここで痛いのは、現場を知っていれば防げた可能性が高いことです。
現場で会話していれば「花壇は触らないで」と先に伝えられたかもしれない。
じゃあ、規模が増えたらどうする?答えは「自走→標準化→チーム化」
最初の10〜20件は、自分で回って基準を作る
「永遠に一人でやれ」という話ではありません。
最初の段階で、少なくとも10〜20件は自分で現場に行き、何が重要で何を見落としてはいけないかを体で覚える。
その経験があるから、スタッフや協力会社に「ここは必ず見る」「この状態なら即連絡」と的確に伝えられます。
標準化のコツ
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チェックリスト化:室内・外周・設備・郵便物・庭の5カテゴリで固定
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写真基準:同じ画角・同じ順番(玄関→室内→水回り→外周…)
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報告テンプレ:「事実(写真)→所見→次の提案(任意)」の順
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NGリスト:「触ってはいけない物(花壇・樹木・神棚等)」を事前に確認
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緊急連絡ルール:「漏水・破損・侵入痕・倒木リスク」など“即連絡”条件を明文化
チーム化・外注は「教育と監督」がセット
下請け(業務委託)を使うなら、
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現場同行でのすり合わせ
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事前説明(やる・やらない)
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月1の品質レビュー(写真とコメントの見方)
など、“運用の仕組み”を先に作るのが安全です。契約の責任分界は案件で変わるため、必要に応じて専門家への確認もおすすめします。
協会として伝えたいこと
空き家管理ビジネスは、効率化だけで伸びる仕事ではありません。
信頼と丁寧さの積み重ねが、長く続く事業を作ります。
空き家管理士協会では、現場基準の考え方、報告の型、パートナー連携の作り方など「再現性のある運用」に落とし込むための学びと相談導線を整えています。
まずは現場が語れる自分を作るところから、一緒に設計していきましょう。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















