空き家バンクはゴールじゃない。入口にするためのチェックリスト
「空き家は空き家バンクに出しましょう」正論に聞こえる一方で、遠方で動けない・写真がない・状態が分からない…と手が止まる所有者さんも多いです。
自治体側も相談は増えるのに、現地確認や調整が個別対応になりやすく、担当者の負荷が積み上がります。
結論はシンプルで、空き家バンクの前に「興味を持たれる家」へ近づけること。
つまり「載せる前」の一次点検と情報整備(物件化)が、流通の入口を作ります。
空き家バンクは「万能」ではない。でも大事
空き家バンクは、地域の空き家情報を集めて見つけやすくする仕組みです。だからこそ大事。
ただ「とりあえず載せれば解決する」という前提で動くと、自治体も所有者も疲れやすい。
なぜなら、空き家問題の本丸は“増えること”だけでなく、放置されて興味を持たれなくなることにあるからです。
データで見る「母数」と「掲載」のギャップ
総務省統計(住宅・土地統計調査)では、2023年時点の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%。
賃貸・売却用や別荘などを除いた、対策上注目される空き家(いわゆる“その他”に近い層)が約385万戸とされています。
一方、国交省が構築支援する全国版空き家・空き地バンクは、参加自治体が1,127、掲載中自治体が735、成約は約23,800件と整理されています。
ここで大事なのは「空き家バンクが悪い」ではなく、母数が大きすぎて、バンクだけで吸収しきれない構造がある、という事なんです。
だから勝負どころは、掲載の前段=現地と情報の整備になります。
つまずきは、だいたい「載せる前」にある
空き家バンク登録の案内は、自治体にとって説明しやすい。
補助制度とセットで案内できることもあります。
でも所有者側では、こんな止まりポイントが頻発します。
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遠方で現地に行けない
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写真が撮れない
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家の状態が分からない
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片付け・草木が手つかず
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そもそも気持ちが重い(心理的コストが高い)
載せた後に反応がないと、さらに心が折れやすい。自治体側も、現地確認・調整が個別対応になりやすく、担当負荷が高止まりしがちです。
解決の考え方は「物件化」=判断材料をそろえること
ここで効いてくるのが「物件化」という発想です。
難しそうに見えますが、要は買いたい人・借りたい人が判断できる材料をそろえること。
メルカリで写真1枚・説明ほぼ無しの商品が売れにくいのと同じで、空き家も「判断材料」がないと動きません。
最低限そろえたいチェックリスト
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室内外の写真(入口・主要室・水回り・外周など一式)
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劣化の目安(雨漏り跡、シロアリ疑い、設備の作動可否など“分かる範囲で”)
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草木・入口まわりの最低限の整備
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近隣迷惑リスクの低減(飛散・倒木・不法侵入の芽を潰す)
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「この家で何ができそうか」の見立て(活用イメージのヒント)
これが整うと、空き家バンクは“掲示板”から“流通の入口”に近づきます。
空き家バンクは「ゴール」ではなく「入口」
空き家バンクは大事です。
でも期待を一箇所に寄せすぎると、自治体も所有者も疲れます。
「載せる前」を整える人と仕組みが入ると、空き家バンクはもっと働ける。
まずは一次点検と情報整備(物件化)から、小さく始めてみるのが現実的です。
FAQ
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Q:異業種でも参入できますか?
A:できます。特に「巡回」「写真」「簡易点検」「草木・清掃」「調整業務」など「載せる前」は相性が良いです。 -
Q:いきなり自治体連携は難しいですか?
A:最初は「一次点検の定型メニュー」を作って、相談導線の一部を受ける形が始めやすいです。 -
Q:物件化って、結局なにをすれば?
A:写真一式+状態メモ+最低限の外回り整備。判断材料がそろうと意思決定が進みます。 -
Q:法律・税務の説明まで事業者がやるべき?
A:無理に踏み込まず、必要に応じて士業・不動産へつなぐ設計が安全です(一般論の説明に留めるのが基本)。 -
Q:成約を増やす“近道”はありますか?
A:近道というより「所有者が止まるポイントを減らす」こと。現地・情報・人手の不足を埋めると進みやすくなります。
空き家管理の“最低ライン”を揃えて、自治体・不動産・士業と連携しやすくするなら、資格・研修が近道です。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















