100人の観光客より10人のファン。アンダーツーリズム×空き家
「空き家を宿にして観光客を呼ぼう」よく聞く話ですが、どこか“焦り”が先に立つこともあります。
実は今、混雑する有名地の反動として、静かな地域で“日常の豊かさ”を味わう旅が注目されています。
これが「アンダーツーリズム」。
結論から言うと、空き家はこの流れと相性が良い。
ただし「いきなり宿」で勝てるほど甘くはありません。
小さく始め、地域と一緒に「10人のファン」をつくる。そこに、空き家ビジネスの可能性があります。
いま注目の「アンダーツーリズム」とは
アンダーツーリズムは、混雑・騒音・住民負担などが課題になるオーバーツーリズムの対極として語られることが多く、まだ知られていない地域に分散して旅をする考え方です。
派手な観光消費よりも、「地元の暮らし」や「人との距離の近さ」を求める層に刺さりやすい。
だからこそ、大型ホテルより、地域に残る空き家が舞台になり得ます。
空き家が「その場所らしさ」を伝える器になる理由
新しい施設は便利ですが、どこか均質になりがちです。
一方、古い家には畳、縁側、柱の癖、裏山の景色…その土地の物語が残っています。
アンダーツーリズムでは、この「完璧じゃないけど味がある」が価値になりやすいです。
空き家は単なる箱ではなく、体験の編集素材になります。
「空き家を活用しましょう」に感じる違和感
「とにかく人を呼ぶ」「稼げればOK」だけだと、地域の本質的な価値が見えにくくなります。
観光は数字が分かりやすい反面、地域側に無理が出ると続きません。
短期の売上より、長期の関係。
つまり「100人の観光客」より「10人のファン」を増やす設計が重要です。
とはいえ簡単ではない。参入時にぶつかる現実
空き家×観光は、夢がある一方でハードルも多い領域です。
たとえば、
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建物の状態把握と改修(安全性・快適性)
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法令・許認可(旅館業法など、形態により論点が変わる)
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運営(清掃、鍵管理、近隣対応、予約導線)
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集客(誰に何を届けるかの設計)
さらに、受け入れ側の心理も大切です。「静かに暮らしたいのに知らない人が来るのは不安」という感覚は自然なもの。
だからこそ、このビジネスは地域の合意から始まります。
本命は「いきなり宿」ではなく小さく始める
ここが参入検討者にとって一番のポイントです。
宿泊がゴールになってしまうと、改修も許認可も運営も一気に重くなる。
そこでおすすめは、段階設計です。
スモールモデル例
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空き家を「地域の拠点」として開放(週末だけ、月1回だけ)
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ポップアップカフェ・物販(地域の手仕事・食材と相性◎)
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体験の休憩所(農作業、漁、里山、工房などの“前後”を支える)
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交流会・ワークショップ会場(住民×外の人が自然に交わる場)
狙いは「その空き家が、誰かに必要とされる場所になること」。収益化は後からでも成立します。
空き家は地域の「入口」になる。ファンが循環をつくる
アンダーツーリズムで来る人は、気に入ると再訪しやすいと言われます。
初めて来た人が空き家で過ごし、地域の人と話し、食材や季節行事を知って「また来たい」となる。
ここまで回り始めると、空き家は「単なる建物」から関「係が生まれる装置」へ変わります。
結果として「観光地にならなくていい」。小さくても、深く愛される地域の方が、長く強い。
この感覚が大切です。
協会としてできること…。
空き家×観光は、物件・地域・運営の掛け算です。
個人の熱量だけで突っ込むと、どこかで壁にぶつかります。
協会では、空き家管理の基礎から、事業化まで、学びとネットワークで再現性を上げる支援が可能です。
まずは「いきなり大きく」ではなく、「小さく始める」ための設計相談からどうぞ。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」で詳しく解説しています。
















