神戸市「マンション空き家税」がタワマン限定から中心部全域へ拡大方針

課税対象が「タワマン限定」から「中心部の分譲マンション全体」へ

神戸市の検討会は、居住実態のない空き部屋への課税について、対象をタワーマンションに限定せず、市中心部の分譲マンション全体に広げる方向で大筋の合意に至ったと報じられています。

一戸建ては引き続き対象外で、あくまで分譲マンションの空き部屋が対象という整理のようです。

把握の基準としては、住民票の登録の有無が軸になる見込みです。

神戸市中心部のマンションでは、住民票が登録されていない部屋がおよそ2割にのぼるとされており、この数字が制度設計の出発点になっていると考えられます。

ただし住民票の有無だけでは、実際の居住実態や賃貸・売却の準備状況までは把握しきれない部分もあり、運用の詳細は今後の制度設計を待つ必要がありそうです。

制度の狙いは「流通促進」と「合意形成の改善」

今回の制度が掲げる目的として、マンションの流通促進、空き室減少による管理組合の合意形成の改善、そして適正な建物管理の実現が挙げられています。

この中でも実務に直結しやすいのが「合意形成」の観点です。

マンションは大規模修繕や建て替えなど、区分所有者全員に関わる意思決定を管理組合の総会で進める必要があります。

空き部屋が増えると、その所有者と連絡がつかなくなるケースが増え、議決権の確保自体が難しくなっていくことがあります。

管理会社や修繕コンサルタントの立場からすると、空き部屋の存在は合意形成の停滞に直結しやすい要因のひとつだといえるでしょう。

税制によってこうした滞留状態の解消が後押しされるとすれば、結果として管理組合の運営支援や修繕コンサルティングといった業務の必要性も高まっていく可能性があります。

旧耐震マンションへの配慮が示す制度設計の方向性

利活用が難しい旧耐震基準のマンションなどについては、免税の方針が示されている点も注目されます。

建て替えや大規模修繕の合意形成自体が難航しているマンションでは、所有者が売却や賃貸に踏み切れないケースが少なくありません。

そうした物件まで一律に課税してしまうと、制度の狙いである流通促進とは逆に、所有者の負担だけが増えてしまう懸念があります。

事業者としては、この免税方針の対象範囲や基準がどう定められるかが、今後の実務上の重要なポイントになりそうです。

特に耐震診断や建て替え相談を扱う士業・建設業にとっては、制度の詳細が固まる過程で相談ニーズが増える可能性があります。

他自治体にも広がる空き家・空き部屋課税の流れ

空き家・空き室への課税強化は神戸市に限った動きではありません。

寝屋川市ではすでに市域全体を対象とした空き家課税の条例が可決されており、京都市でも2030年度から市街化区域を対象に導入が予定されていると報じられています。

地価や新築マンションの分譲価格が上昇傾向にあることも背景にあると考えられ、今後この流れが他の自治体にも広がっていく可能性はあるでしょう。

事業者にとっての実務的な意味合い

制度の詳細はまだ流動的ですが、空き部屋を抱えるオーナーが「放置のコスト」を意識し始める局面が近づいているとみることはできそうです。

不動産業であれば売却・賃貸の相談増加、士業であれば相続や名義整理の相談増加、管理業であれば空き部屋を含めた建物管理の見直し相談など、それぞれの業種で問い合わせが増える余地があります。

制度の正式な内容や施行時期については、今後の自治体発表や専門家の解説を継続的に確認することをおすすめします。

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この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの空き家ビジネスnoteでも解説しています。

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