誰も数字を持っていない領域を、いま調べています。留守宅実態調査

「実家、どうしたらいいんでしょう」

ケアマネジャーの方が、利用者のご家族からこう聞かれる。でも、どこにつなげばいいか分からない。そんな場面が増えていると聞きます。

親が施設に入る。家は残る。

でもその家は、空き家ではありません。

介護サービスの対象でもない。不動産会社も、売る話にならなければ動きません。

自治体は、空き家になってからしか手を出せない。

つまり、誰も担っていない領域があるんですね。

ぼくは、ここが空き家ビジネスの入口だと思っています。

ただし、この領域そのもので大きく儲かるとは思っていません。その理由も含めて、書きます。

空き家ではないけれど、誰も住んでいない家

親が施設に入所した。あるいは長期入院した。しばらく家に戻れない。

そのとき残された家は、統計上「空き家」に分類されることもあります。でも実態は違います。

家財はそのまま。仏壇もある。親は「いつか帰るかもしれない」と思っている。家族も、片づける決心がつかない。

誰も住んでいないけれど、まだ役割を失っていない家。

一般社団法人空き家管理士協会では、これを「留守宅」と呼んでいます。

ものすごくざっくり言うと、空き家になる一歩手前で止まっている家、ということです。

制度のすき間に落ちている

この留守宅、どこの制度からも外れています。

介護保険の外側

介護サービスは、本人の生活を支えるものです。本人が住んでいない家の管理までは、基本的に扱いにくい。ケアマネジャーの方が家族から相談を受けても、業務範囲の外になってしまう。

不動産会社の管轄外

売買や賃貸の話になれば、不動産会社の出番です。でも「まだ売らない、貸さない、でも管理だけ困っている」という状態では、業務になりにくい。

自治体は空き家になってから

空家等対策特別措置法にもとづく行政の関与は、基本的に空き家になってからのものです。留守宅の段階では、対象になりません。

つまり、誰も担当していない。

では、実際には誰が見ているのか。

たいていの場合、遠方に住む子どもです。仕事を休んで、月に一度、車を走らせている。

郵便物を取り、雑草を刈り、通水し、台風のあとには壁を確認する。

ぼくはこれを「介護の外側にある負担」と呼んでいます。誰も頼んでいないのに、誰かが引き受けている負担です。

正直に言うと、この領域は儲かりません

さて、ここからが事業者の方に読んでほしいところです。

留守宅管理という仕事を、単体のビジネスとして見た場合。ぼくは、あまり大きな収益を期待できないと考えています。

理由は単純で、管理料の単価がそれほど高くならないからです。空き家管理サービスの相場感を考えれば、留守宅も似た水準に落ち着くはずです。月に一度の見回りと報告。それ以上のことをすると、コストが合わなくなる。

だから、「留守宅管理で一儲け」という話ではありません。ここは正直に書いておきたいところです。

でも、これは入口です。

入口を押さえるということ

親が施設に入った瞬間、その家の未来は決まっていません。

数年後、その家はどうなるか。売却されるかもしれない。解体されるかもしれない。

リフォームして子どもが住むかもしれない。賃貸に出るかもしれない。

相続が発生して、共有名義になって、揉めるかもしれない。

そのすべての相談が、最初にどこへ行くか。

留守宅の段階から関わっていた事業者のところです。

月に一度、家を見に行っている。報告書を送っている。

ご家族と連絡を取り合っている。その関係ができていれば、「そろそろ売却を」という話が出たとき、まず声がかかるのは、その事業者です。

空き家になってから飛び込みで営業をかけるのとは、位置がまったく違います。

これがぼくの考える、留守宅ビジネスの本質です。管理料で稼ぐのではなく、その先のすべての意思決定に立ち会える位置を取る、ということです。

いま、この領域の実態を調べています

留守宅について、まとまったデータがほとんどありません。

家族が月に何回見に行っているのか。何にいちばん困っているのか。どこまでなら費用を払う意思があるのか。誰も数字を持っていません。

そこで協会では、いま実態調査を実施しています。

▼留守宅実態調査(回答5〜8分・2026年7月31日まで)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScsq_Yd1Y18ug_R_12ammk9QoINWJu916ZNEuLtrXqM80QtDQ/viewform

ご回答いただいた方には、調査結果の速報レポートをご案内する予定です。

この領域に関心のある事業者の方にとっては、需要の実像を数字で知る機会になると思います。

また、この調査結果は、今後の空き家管理士研修カリキュラムにも反映していく予定です。

空き家管理士協会は、空き家の可能性に挑戦します。

この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの空き家ビジネスnoteでも解説しています。

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