売れない更地の出口「相続土地国庫帰属制度」と空き家ビジネスの新しい役割
解体しても、土地の問題は残る
道路に十分接していない土地は、家を解体すると新たに建築できない「再建築不可」となる場合が多く、買い手探しが難しくなる傾向があります。
加えて、住宅が建つ土地に適用される固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が、解体によって外れる可能性もあります。
「解体すれば売れる」という一般的なアドバイスが、そのまま当てはまらない土地があるということです。
相続土地国庫帰属制度の基本
相続(または相続人への遺贈)で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。
自分で購入した土地は対象外です。
法務省のQ&Aでは、他人の土地を通らないと出入りできない袋地も、通行が妨げられているなどの事情がなければ対象になりうるとされています。
法務省の速報値では、2026年8月31日時点で申請5,997件、国庫帰属3,119件(うち宅地1,164件)となっています。
費用の目安
申請時に1筆あたり14,000円の審査手数料、承認後に原則20万円の負担金が必要です。
市街化区域などの宅地は面積に応じて算定されるため、20万円を上回ることがあります。
詳細は法務局で確認するよう案内するのが安全です。
つまずきやすい3つのポイント
却下・不承認の理由として多いのは、境界が明らかでないこと、地上に工作物や樹木が残っていること、地下に除去が必要な物があることです。解体後の土地では、基礎や浄化槽の撤去状況が問われる場合があります。
事業者に生まれる新しい役割
解体業者にとっては、地中まで撤去して写真で記録を残す「国庫帰属を見据えた解体」が差別化の材料になりえます。
管理会社・不動産会社は、売却・賃貸に加えて「手放す」まで含めた出口相談や、申請前の草刈り・残置物撤去を担えます。
士業では、境界確認は土地家屋調査士、相続登記や申請書類の作成は司法書士・行政書士・弁護士の領域です。
これまで収益化が難しかった土地に、出口支援という新しい需要が生まれつつあります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















