空き家税は都市と地方で目的が違う。事業者が押さえておくべき制度
都市部の空き家税は「市場流通促進型」
京都市の非居住住宅利活用促進税は2022年に条例が可決され、2030年度からの課税開始に向けて準備が進められています。
寝屋川市の空き家流通促進税は2026年6月議会に条例案が提出された段階で、今月可決されれば2029年度の課税開始を目指しているとのことです。
市内全域を対象とするのは全国初とされ、注目を集めています。
どちらの制度にも共通するのは、住宅需要がある都市部で、眠っている空き家を売却や賃貸に動かしてもらうという狙いです。
ここは、不動産業や仲介事業者にとって分かりやすい市場機会と言えそうです。
地方では「市場に出す」だけでは動かない
一方で、地方の空き家は事情が異なります。
売りに出しても買い手がつかない、相続人が県外に散らばっていて意思決定が進まない、解体費用が出せない。
こうした案件は、都市部の空き家税の発想をそのまま当てはめても解決しにくいと、ぼくは考えています。
地方に必要なのは、売れない空き家に負担を課す税ではなく、管理されない空き家を減らすための税ではないか。
これが、この記事で提案したい視点です。
中山間地域なら倒壊や害獣、防犯リスクの予防、人口減少地域なら活用できる家と、たたむ家の選別といった機能が求められるはずです。
「留守宅」段階に眠る事業機会
空き家は、ある日突然生まれるわけではありません。
親が施設に入り、実家に誰も住まなくなってから、売る・貸す・解体するの判断がつかないまま時間が経っていく。
この「留守宅」の段階こそ、放置が静かに始まるタイミングです。
空き家税の税収の一部を、この留守宅段階の管理支援(通風・通水、草刈り、郵便物確認、外観点検、近隣連絡先の登録、家族への報告書作成など)に充てる制度設計も考えられるのではないか、というのがぼく個人の仮説です。
まだ実在する制度提案ではありませんが、もし今後こうした支援メニューが自治体レベルで検討されるようになれば、空き家管理事業者だけでなく、不動産・建設・警備・介護福祉といった隣接業界にとっても、新しい受け皿になりうると見ています。
管理実態に応じた課税設計という方向性
制度設計としては、一律課税ではなく、管理実態に応じた仕組みが現実的だと考えています。
定期管理契約や点検報告書、近隣連絡先の登録があれば軽減し、管理実態がなく苦情が出ているような空き家には負担を求める。
こうした設計になれば、空き家税は罰金ではなく、行動変容を促す仕組みに近づいていきます。
事業者にとっては、この「管理実態の証明」を担う役割が生まれる可能性があります。
点検報告書の作成や管理契約の締結支援は、まさに空き家管理士や地域事業者が担いやすい業務と言えそうです。
事業者が今のうちに準備できること
地方型の空き家税がこの方向に進むかどうかは、まだ確定した話ではありません。
ただ、動きを注視しつつ、以下のような準備を進めておくのは無駄にならないと思います。
留守宅・空き家の点検や管理契約のメニュー化、家族向けの報告書フォーマットの整備、地域の不動産・士業・警備・介護福祉との連携体制づくり、そして自治体の制度動向を継続的に把握しておくこと。
これらは、制度がどう転んでも活きてくる基盤になるはずです。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















