防災庁が始動。空き家900万戸は災害時の「リスク」か「資源」か
防災庁と「事前防災」
防災庁は内閣府の防災部門を改組した内閣直属の組織で、他省庁への勧告権を持ちます。
重点に置くのが「事前防災」です。ものすごくざっくりいうと、起きてから対応するのではなく、起きる前に被害を減らす手を打っておく、という考え方です。全国約900万戸の空き家も、この視点で見直す時期に来ています。
放置空き家は災害の「後」にも響く
倒壊や瓦の飛散、火災に加えて、災害後の復旧にも影響します。
能登半島地震では、相続人と連絡がつかない、共有者が多いといった所有者の問題で公費解体が滞る例が報告されました。
公費解体とは、壊れた家を自治体が所有者に代わって解体する制度です。平時に所有者がはっきりしていることも、防災の一部だといえます。
2019年から続けた社会実験
協会は2019年11月、体育館での雑魚寝を減らしたいという思いから、空き家を家族単位の避難先にする社会実験を始めました。2021年と2024年にも呼びかけましたが、提供の申し出は5件にとどまりました。個別に話すと前向きな所有者は多いものの、責任や家の状態への不安から、手を挙げるまでには至らなかったのです。
制度はあるのに、リストに載らない
みなし仮設住宅とは
災害時には、都道府県が民間の賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設住宅」(賃貸型応急住宅)があります。自治体によっては、戸建ての空き家も対象になると案内しています。
入口の条件が壁になる
一般に、耐震性、貸主の同意、家賃の上限などの条件があり、不動産業者が扱う物件の中から選ぶ流れが多いようです。賃貸用でも売却用でもない空き家は約385万戸あります。こうした家は状態が把握されておらず、候補に上がりにくいのが現状です。
事業者にとっての意味
足りないのは家の数ではなく、「使える状態だとわかっている家」の数です。
定期的な見回り記録、建築士による状態確認、所有者の意向の整理は、どれも平時の業務の延長でできます。具体的な仕組みの提案は後編で詳しく扱います。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















