空き家管理を「事前防災」に。防災庁の始動を機に考える4つの仕組み
「壊すか、売るか」の間にある家
空き家の防災というと、解体するか、空き家バンクに登録するか、の二択で語られがちです。ただ現場には、壊すほど傷んでいない、かといって手放す決心もつかない家が多くあります。所有者が決めきれない期間に、家をどういう状態で保っておくか。ここが、事前防災の空白になっています。
入口を広げる4つの段階
平時の意向確認と安全確認
まず、「もしものときは貸してもよい」という所有者の意向を、災害が起きる前に確かめておきます。次に、建築士や工務店が耐震性や水回りの状態を確認し、必要に応じて最低限の手入れをします。
定期管理と災害時の接続
管理事業者が月1回程度見回り、通水や換気、雨漏りの確認を記録に残します。この記録が「すぐ住める」ことの根拠になります。災害時には、都道府県と不動産団体の協定の枠組みに管理事業者のネットワークも加わり、登録された家をみなし仮設の候補につなぎます。
防災庁に期待したいこと
空き家対策は国土交通省と市町村、災害時の住まいは防災庁と都道府県、公費解体は環境省と、同じ家でも担当が分かれています。他省庁への勧告権を持つ防災庁には、平時と災害時の情報を一つにつなぐ旗振り役を期待したいと考えています。能登では、事前に選んでいた仮設住宅の候補地127か所のうち、実際に使えたのは38か所でした。リストに載せるだけでなく、使える状態を保つことが大切です。
費用の考え方
災害救助法の基準では、建設型仮設住宅1戸あたりの設置費用の上限は、550万円あまりとされている例があります。その一部を平時の空き家の維持に回せないか、というのが協会としての仮説です。具体的な金額や効果は、小さな実証で検証していく必要があります。
事業者に生まれる役割
管理事業者は記録を、建築士・工務店は安全確認と最低限の改修を、不動産会社は協定の担い手としての役割を、それぞれ担えます。士業には相続登記や共有者の整理で、損保や地域金融には補償や小口の融資で出番があります。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。
















