相続した地方の実家が「売れない・貸せない・壊せない」。空き家の行き先を見極める仕事とは
空き家の約6割は、相続から生まれている
相続された空き家の7割超は1980年以前の建築で、腐朽や破損があるものも7割を超えています。
所有者の多くは、自分で選んだわけではない古い家を、ある日突然引き継いでいることになります。
地方の実家が抱える三つの壁
売れない
人口が減る地域では買い手が少なく、接道が狭い、土地の形が悪いといった条件が重なると、売却にはさらに時間がかかります。
貸せない
賃貸需要が弱い地域では、改修費を家賃で回収できる見通しが立たないことがあります。
壊せない
解体費用に加え、更地にすると「住宅用地の特例」(住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする仕組み)が原則として適用されなくなります。税額の変化は土地の条件によって異なるため、個別の確認が必要です。
準備のない相続は、判断を止めたままにする
同じ調査では、相続前に対策をしていた世帯は23.0%でした。
対策のなかった空き家は、活用も解体も決まらないまま所有され続ける割合が、対策のあった空き家の約1.5倍です。
所有者は動きたくないのではなく、何から決めればいいのかわからないまま止まっていることが多いといえます。
「行き先の見極め」は、まだ誰の本業でもない
不動産会社は売れる家を、解体業者は解体が決まった家を、士業は手続きを扱います。ところが、その手前で「この家はどこへ向かうのか」を所有者と考える役割は、すき間に落ちています。
業種ごとの入口
不動産業なら、売却が難しいと判断した物件の次の相談先を用意しておくこと。
士業なら、相続手続きの場面で家の今後を一緒に整理すること。
解体・リフォーム業なら、工事の前段階の相談を受けること。
警備・介護業なら、親の住まいの変化にいち早く気づける立場を活かすこと。いずれも、既存の顧客接点の延長で始められます。
いまから準備しておきたいこと
活用できる家、管理しながら判断を待つ家、家としての役目を終える家。
この仕分けを所有者と一緒に行うには、建物の状態を定期的に見て記録する管理の視点が欠かせません。
管理は活用の反対ではなく、判断までの時間を支える仕事です。
自社の相談窓口に「実家をどうしたらいいかわからない」という声が届いたとき、受け止める体制やつなぎ先があるかを、一度見直してみてはいかがでしょうか。
この記事の背景や現場目線の補足は、ぼくの「空き家ビジネスnote」でも解説しています。

















